生徒が宿題をしてきてくれない
言うことを聞いてくれない
そんなことありますよね。
そんなときに使えるテクニックを紹介します。
段階的にお願いしていく
宿題を20ページやってきてほしい
とします。
いきなり
じゃあ、宿題20ページやってこようか
えー、そんなに多くやりたくない
ってなってしまいます。
そうではなくて、段階的にお願いすることで、こちらがやってほしい目標に近づけていく方法があります。
これは一貫性の原理を利用しています。
一貫性の原理とは
人間の習性のひとつに一度決めたことや、ある意思表示をすると、
その決めたことに対して最後まで一貫した立場を貫き通すという性質があります。
たとえそれが間違っていたとしても、自分ではそれが正しいと思い込み、
訂正することに抵抗を感じます。
人間の思考や行動には、自分が最初に決めたことに対して、最後まで物事を貫き通さなければいけないという義務感が生まれます。
もちろん中には、一度決めたにもかかわらず、途中で気が変わって変更する人もいます。
しかし、多くの人は最後まで変えようとはしないのです。
なぜ人間は、一度自分が決定したことを、最後まで変えようとしないのでしょうか?
その理由は、
人間には自分が下した判断が正しいということを、他人に認めてもらいたいという欲求が働く
からです。
そして、自分が下した判断が本当に正しかったという、自己満足を得るために一貫した行動を取るようになります。
その一貫性の原理を利用しましょう。
じゃあ少しだけなら宿題がんばれるかな
うん、できる
そこから、段階的に「生徒が頑張れる宿題」に近づけていきましょう。
ローボールテクニックを使ってみよう
ロウボールとは「低めの玉」という意味です。
ハードルが低ければ、「じゃあ、やってみるか」と思ってしまう心理ですね。
ローボール・テクニックの例
アンケートに答えてもらえませんか
アンケートに答えるために別室に同行してください
これなどは典型的なローボール・テクニックです。
最初に「アンケートに答えてください」と簡単なお願いをしているように思わせます。
街角で10分程度アンケート用紙に記入するだけならばいいだろうと勝手に想像して承諾すると、
実際には、別の場所に移動してかなり時間のかかる面倒なものであることが、明かされます。
このときには、すでに承諾してしまっているので断れなくなっているのです。
つまり、最初の条件提示の時には、相手にとって不利となる情報は与えません。
最初は相手が受け入れやすい条件のみを提示します。
それが承諾されたら、本来の条件を提示するのです。
よくあるのは・・・・
これもローボール・テクニックですね。
お客さんが50%オフセールの立札を見て、店に入ってきて、品物を手にとってレジに持ってきたときに、
この品物は対象外です
と言われたら、だからといって
買うのをやめます
と言える人はあまりいません。
商品を手に取ってレジに持ってきてしまった時点で、引っ込みがつかなくなってしまっているからです。
ローボールテクニックが有効的な理由
ローボールテクニックが交渉で有効的な理由は、
相手が最初に要求を承諾してしまった手前、少し不利な条件を出されても、拒否しにくくなるからでしょう。
これは一貫性の原理からも説明ができるでしょう。
人は基本的に一貫した行動をとる傾向があることから、最初に承諾したことをひっくり返しにくいと考えられます。
ドア・イン・ザ・フェイスとは
次にドア・イン・ザ・フェイスです。
例としては
じゃあ、テスト近いから宿題30ページがんばろうか
えっ、そんなにできないです
じゃあ、20ページだけがんばろってみようよ
は、はい
ドア・イン・ザ・フェイスとは、
人が他人に対して何かを要求するときの落差(ギャップ)を利用して、相手に要求を承諾するように導く交渉術
のことです。
「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」
要求水準の落差を利用した交渉術。譲歩的要請法ともよばれる。
依頼や交渉の際、最初に難度の高い要求を出して相手に一旦拒否させておき、それから徐々に要求水準を下げていく話法のことで、先立つ要求を目くらましにして、最終的に、こちらの最も望ましい要求を承諾するよう相手を導く。
「ドア・ドア・イン・ザ・フェイス」を使うことで、相手に対して、
最初は大きな要求をしてわざと断られ、そのうえで「本当の目的」だった小さな要求を相手に承諾させることができます。
ちなみに、「ドア・イン・ザ・フェイス」は、返報性の法則
という人の心理の性質を利用したものです。
返報性の法則とは、簡単に言えばギブ&テイク。
つまり、「相手が譲歩してくれたのだから、こちらもそのお返しをしなくちゃ!」という人の心理が、この交渉術の核になります。
ビジネスや恋愛などにも、この「ドア・イン・ザ・フェイス」がテクニックとして有効です。
また、詐欺まがいの商材を打っている悪徳業者などは、この交渉術を悪用して有利に話を進めようとしてきます。
営業トークをされている場合の対策として覚えておくことにも効果があるでしょう。
ドア・イン・ザ・フェイスとフット・イン・ザ・ドアの使い分け
ドア・イン・ザ・フェイステクニックには、似ているテクニック・交渉術があります。
使い分け方法などを知っておけば、交渉をより有利に進めることができるため、ここで合わせてご紹介していきます。
「フット・イン・ザ・ドア」とは?
「フット・イン・ザ・ドア」では、ドア・イン・ザ・フェイスとは逆の方法で交渉を進めていきます。
ドア・イン・ザ・フェイスはセールスマンが顔をドアに突っ込むことでしたが、
フット・イン・ザ・ドアではドアに脚を挟むことからきています。
こちらの要求を受け入れさせる状況に慣らせていき、
少しずつ気づかぬように要求を挙げていくテクニックとして、ドア・イン・ザ・フェイスとともに交渉術として利用されています。
このフット・イン・ザ・ドアは簡単に言うと
ローボールテクニック&一貫性の原理
の合わせ技ですね。
まとめ
・一貫性の原理 一度決めたことは変えにくい
・ドア・イン・ザ・フェイス 大げさに言っておいて、少し下の目標を達成させようとすること
・フット・イン・ザ・ドア 段階的に目標に近づけるように交渉していくこと