高校を選ぶ時の大きな要素に
公立か私立か
という基準があります。
さらに、その上で付属校(附属)にするかどうかでも選択肢がわかれます。
それぞれの特徴についてまとめてみました。
学校数
全国の高等学校の国立私立の数
国立 15校
公立 3,604校
私立 1,320校
(2016年 文部科学省)
特徴
公立
学校への支出が抑えられる分、教育費を他のことに使うことも可能
公立高校は、県や市などの地方自治体が設置する学校で、
管理や運営はその自治体の教育委員会が行っています。
入学するには公立高校で、共通の入試を受験して合格する必要があります。
入学後の授業は、自治体に採用・配属される教師が行います。
同じ学校に長年勤務することはあまりなく、ほとんどは数年以内にほかの公立校へ転勤・異動する仕組みです。
また、私立高校に比べて学校への支出が抑えられているため、その分を
習い事や塾、特技など他の部分に使うこともできます。
私立
国からの制約があまりない分、はっきりとした特徴がある
私立校は、自治体以外の学校法人が設置する学校で、管理や運営はその学校法人が行っています。
また、高校のほかに、幼稚園、小学校、中学校、大学などの系列高校がある法人も見られます。
例
慶應義塾幼稚舎(小学校)
慶應義塾普通部(中学校)
慶應義塾高校(高校)
慶應義塾大学(大学)
私立校の教師は、学校法人が独自の方法で採用しています。
系列校間の異動はありますが、基本的には同じ学校でずっと勤務する場合が多いです。
学校への支出は、学校によってかなり幅があります。
おおむね年間100万円前後かかる学校が多いです。
さらに部活動が盛んな学校では、そのための費用が別途必要になる場合もあります。
スポーツの強豪校では、寮などの設備が整い、全国から生徒を集めているところも見られます。
付属(附属)校
内部進学を狙えるが、学校によって状況は変わってくる
付属校のほとんどは、私立です。
また、国立の付属校でも中高一貫教育を行う中等教育学校は4校あります。
国立の付属校では、教育学部の教育実習受け入れのほか、大学の研究機関としての調査・研究も行われています。
私立との大きな違いは、学費負担の少なさです。
私立高校の中でも、幼稚園・小学校・大学等の系列校をもっている学校は、進学の優先枠を持っているところがほとんどです。
進学できる基準は学校によってさまざまで、
3年間の評定平均が3.0以上
3年間の欠席日数が〇日以内
など、独自のものが設けられています。
ただし、必ずしも系列校への進学が容易とは限らず、ほとんどの生徒が進学できるところもあれば、大多数が別の学校を受験するところもああります。
また、人気の学部へは志望者が集中するため、付属校に入ったとしても、
進学のためには普段の成績や内申において、高いレベルが要求される
場合もあります。
徹底比較
授業
公立
基本的に月~金までの5日制。希望者を対象に補習授業を行う場合もある。
私立
月に数回土曜授業を行ったり、朝や放課後に補習授業を行ったりしていることが多い。
付属
系列校の先生が授業を行う場合もある。
施設・設備
公立
自習室を設けたり、進路コーナーを新設するなど、学校によって特色を出している。
学区内からの進学になるので、進学時間はそれほどかからない。
私立
図書館やグラウンド、体育館、食堂など施設が整っている学校が多い。
部活動に力を入れている学校では、寮も整備されている。
付属
系列校の大学を持っている場合は、施設を共有したり、最新の広い設備が利用できる。
難易度
公立
低~中~高まで、学校によってさまざま。
推薦入試と一般入試があり、定員の割合は自治体によって定められている。
私立
低~中~高まで、学校によってさまざま。
推薦入試一般入試があり、定員の割合は学校によって異なる。
入試は複数回実施されることが多い。
付属
系列大学が難関校の場合、入試はハイレベルになる。
進学
公立
進学校の場合は、高校のレベルに合わせた指定校推薦枠を持っている。
私立
進学校の場合は、高校のレベルに合わせた指定校推薦枠を持っている。
付属
指定校推薦のほか、上の系列の大学がある場合、優先入試制度を持っていることが多い。
人気のある系列大学への進学はハイレベルになる。
※指定校推薦って?
指定校推薦とは、私立大学が高校名を指定して、何名か推薦者を募集する制度のことです。
例えば
・〇〇高校には早稲田大学文学部の指定校推薦の枠が1名分ある
・〇〇高校には法政大学経済学部の指定校推薦の枠が2名分ある
といった感じです。
しかも、この指定校推薦という制度、推薦が決定した場合ほぼ100%合格します。
この”ほぼ”というのは、指定校推薦の場合、
小論文
面接
を課している学校があります。
私の今まで聞いた方で、不合格になった生徒は見たことがありません。
強いて不合格になる場合をあげるのであれば、推薦が決まったのに
面接に行かなかった
卒業までに事件を起こして、退学になってしまった
この2パターンです。
指定校推薦の基準
ずばり評定のみです。
評定・・・・中学校でいう通知表。各学校によって異なるが、10段階の学校が多い。
推薦で使用する評定は「高校1年~3年夏までの、評定平均」を基準としてみます。
つまり、
高校入学当初から高校3年生の夏までに、学校の定期テストで高い成績を残し続けてきた人
がとても有利な制度です。
私も、進路指導をしてきて多くの高校生を見てきていますが、間違いなく言えることは
評定が良ければ、絶対に指定校推薦を使った方がいい
ということです。
私立大学に限ってしまいますが、間違いなく一般の受験よりハイチャンスです。
奨学金という制度もありますので、高校選びの際はぜひ考えてみてほしいです。
特別活動・海外研修
公立
伝統校では固有の行事が行われることも多い。
英語科や国際科がある学校では、夏休みなどの期間を利用した、短期海外研修を行うこともある。
私立
体育祭や文化祭を大規模に行うところもある。
宿泊合宿などの独自の行事も多い。
キリスト教系の学校は海外の姉妹校との交流を持っている。
付属
体育祭や文化祭を系列校と合同で開催することも多い。
学校への出費
公立
入学金、授業料、施設費、制服代、体操服代、修学旅行積立金、校外実習費、生徒会費などかかる。私立に比べると低額。
目安はおおよそ年間40万円程度
私立
入学金、授業料、施設費、制服代、体操服代、修学旅行積立金、校外実習費、生徒会費などのほか、寄付金(任意で一口5万円、2口以上)、父母会費、光熱費、などが必要になることが多い。
学校によって総額は異なるが、おおむね年間100万円程度。
寮に入っていると、寮費や食費などが別途かかる。
まとめ
以上のことから、子どもにとってどこを選択するのが最も良いか、検討していただけるとよいと思います。
ただ、最終決定をするのは必ず「進学する本人」にしてください。
先生や保護者はあくまで、情報を提示し、提案する姿勢でいてほしいです。
なぜなら、もし、先生や保護者が進学先を決めてしまって、その後、生徒本人が学校に行きたくなくなってしまったら・・・
![たなか](https://i1.wp.com/study-manual.com/wp-content/uploads/2018/10/s256_f_object_174_0bg.png?w=1256&ssl=1)
だから、私は〇〇高校に行きたくなかったんだよ
なんて言われてしまいます。
もう高校生です。
自らの選択の最終決定は、本人がしていかなければこれから先、自分一人でやっていけません。
あくまで、私たち(先生・保護者)は、より良い道に導くためのサポート役ということを大事にしていただけたら嬉しいです。